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大人のコーツ病

黄色の網膜下滲出物が特徴のコーツ病は、網膜の拡張した毛細血管毛細血管瘤からの血漿成分の漏出が原因です。
通常、小児の特に男児の片眼にみられ、進行すると滲出性網膜剥離や続発性緑内障で失明に至ります。

類縁疾患

レーベル粟粒血管腫症Leber’s miliary aneurysms とMacTelタイプ1Macular telangiectasia type 1 (MacTel1) は、コーツ病の類縁疾患です。
レーベル粟粒血管腫症は成人の黄斑部に細動脈瘤や毛細血管瘤が多発して網膜浮腫と輪状白斑を生じhttps://meisha.info/archives/1674コーツ病の初期あるいは非進行性病型と考えられています。
London NJD, Shields CL, Haller JA: Coats disease. In: Ryan SJ (Eds): Retina 5th ed. Elsevier, 1058-1070, 2013.
成人の黄斑部に限局して毛細血管拡張と毛細血管瘤を示すMacTel1も、同一の疾患スペクトラムに属すると考えられています。
Gass JDM. Stereoscopic atlas of macular diseases diagnosis and treatment 4th edition. Vol. 1 494 (Mosby-Year Book, 1997).

軽症の成人コーツ病

以下は成人にみられた軽症のコーツ病と考えられたケースです。
左眼の飛蚊症と軽度の霧視を訴える47歳の男性が眼科診療所を受診して大学病院眼科を紹介されました。
矯正視力は1.5/1.2、左眼の下鼻側周辺に、小児のコーツ病でみられるような網膜下黄白色滲出物がみられ、OCTで黄斑にわずかの浮腫もみられました。
超広角眼底カメラ、オプトスフルオレセイン蛍光眼底造影検査を行ったところ、下鼻側周辺に毛細血管瘤毛細血管拡張、耳側まで広がる下方の毛細血管拡張と周辺の無血管野が確認されました。
黄斑部の毛細血管拡張はみられませんが、反応性に軽度の蛍光漏出が見られました。