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白内障手術と核落下

白内障は水晶体という目の中のレンズが濁るため、かすんで見えにくくなる病気です。
一度濁った水晶体を薬で透明に戻すことは無理https://meisha.info/archives/782、見え方の改善には手術が必要です。

水晶体の構造と手術

水晶体の中央には硬い水晶体核があり、周囲の柔らかい水晶体皮質とともに、水晶体嚢で包まれています。
手術では水晶体嚢の前面(前嚢)に丸い窓を開けて、内部の水晶体核を砕いて水晶体皮質とともに吸い取ります。
その後プラスチック製の眼内レンズ(IOL)を残った水晶体嚢の中に収めて手術は終了します。

核落下

手術中に水晶体嚢の後面である後嚢が裂けて水晶体核の一部が硝子体中に落下することがあります。
水晶体核に含まれる蛋白には強い抗原性があり、硝子体中に落下したままだと強い炎症や眼圧の上昇で網膜や視神経が障害されます。
そのため、数日以内にこれを取り出す手術が必要になります。

硝子体手術

通常の白内障手術では手術器具は虹彩と角膜に挟まれた前房に器具を入れて手術します。
しかし硝子体中に落下した水晶体核図左)を取り出すには、虹彩後方の硝子体中に硝子体カッターなどの器具を差し込む硝子体手術図右)が必要です。

残念ながら白内障手術を行う眼科医の多くは硝子体手術を行うことができません。
そのため稀な合併症である核落下を起こした場合は、硝子体手術ができる総合病院の眼科などに紹介して追加手術をお願いすることがあります。