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網膜外科と網膜内科

眼科診療のうちでも特殊検査が必要な難しい病気の診断や、手術を含めた高度の治療が必要な場合は角膜、緑内障、網膜などの専門外来にかかることになります。https://meisha.info/archives/3113

眼科教授の専門分野

大学病院の眼科には多くの専門外来がありますが、その大学の得意分野は、多くの場合、診療科長である教授の専門分野に一致します。
全国には医学部のある国立、公立、私立の大学は82あり、各大学の眼科主任教授の専門分野を調べると図のようになりました(一人の教授の専門が例えばぶどう膜と眼腫瘍のように複数ある場合は重複カウントしています)。

グラフからは網膜、緑内障、角膜が主要3分野ということになります。
毎年開催される眼科の専門別学会でも網膜硝子体学会、緑内障学会、角膜学会(角膜カンファレンス)は千人を超える規模で開催されています。

網膜が最多である理由

教授の専門として網膜が最多である理由として以下の点が挙げられます。
1. 高度な技術を要する硝子体手術の術者を大学病院で育成する必要があり、また硝子体手術が必要な網膜患者さんを多く紹介してもらえることで大学のステータスが上がる。
2. 教授選考の際の業績として研究論文が重要視されるが、網膜画像解析装置による臨床研究遺伝子検査、治療の研究が網膜分野で多いため。

網膜外科と網膜内科

そのため網膜を専門とする多くの眼科教授は、硝子体手術の経験が豊富な網膜外科surgical retinaと画像診断や遺伝子診断を得意とする網膜内科medical retinaの2つに色分けされます。
専門外来の名称も前者では網膜外科外来、網膜硝子体手術外来、糖尿病網膜症外来、後者では網膜内科外来、黄斑外来などとなっていることがあります。
糖尿病網膜症はレーザー光凝固や抗VEGF薬硝子体注射など内科治療も行いますが、増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術の頻度が高いことから網膜外科専門の医師が扱うことが多いです。
黄斑外来でみる黄斑疾患の多くは加齢黄斑変性ですが、硝子体手術が必要な黄斑円孔や網膜前膜の患者さんは網膜外科医がみることもあります。
網膜内科でみる対象には網膜色素変性や黄斑ジストロフィなどの遺伝病も含まれます。