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片目を隠して目の動きを見る遮閉試験

斜視の診断にはフラッシュを光らせて撮影した写真で、黒目の中にみえる白点の角膜反射をみることが簡便であることを前回(2020/9/21斜視と偽斜視https://meisha.info/archives/473)解説しました。
しかし黄斑偏位の目などでは、斜視ではないのに黒目の内側に角膜反射があって外斜視と誤って判断されることもあることにも触れました。
斜視の診断のゴールドスタンダードは、実は角膜反射法ではなく、片目を隠して目の動きをみる遮閉試験(カバーテスト)という検査です。

遮閉試験の原理

斜視は両目を開いて見ている時に、視線が目標に向かっている目(固視眼)の反対側の目(非固視眼)の視線は内または外にずれています。
固視眼を手のひらで隠すと反対側の非固視眼は目標を見るために、外斜視の場合は外から内、内斜視の場合は内から外に動きます。
わずかの量の動きであっても、動いたかどうか、さらにその方向の判断は容易です。

遮閉試験の実際

図左の外斜視の患者さんで固視眼の左目を半透明の遮閉板で隠すと、非固視眼の右目が外から内に向かって動くのがわかります。
この時隠された左目は外にずれるのが写真ではわかりますが、半透明の板ではなく眼科医の手のひらで左目を隠す場合にはわかりません。
同様に図右の内斜視では、非固視眼の右目が内から外に動くのがわかります。

遮閉除去試験(アンカバーテスト)

隠した目から遮閉板をはずした際の目の動きを見る検査は、遮閉除去試験(アンカバーテスト)と呼ばれます。
この時、外斜視ではどちらの目での固視が優位かによって、両目とも動かない場合と両目とも動く場合があります。
一方、反対目は動かず、遮閉をはずした側の目だけが外から内に動く場合があり、これは外斜位です。

外斜位は両目を開いている時は両目の視線がともに目標に向いていますが、片目を隠した時だけ隠された目の視線が外にずれる状態です。
これに対して外斜視では両目を開いているときも、どちらかの目の視線が外にズレています。
図は外斜視と外斜位が同居する間欠性外斜視で、しかも固視眼の優位性のない患者さんです。
遮閉試験と遮閉除去試験はセットで行われ、遮閉-遮閉除去試験CUT: cover-uncover testと呼ばれます。

交代遮閉試験

広義の遮閉試験には交代遮閉試験alternate cover testという方法もあります。
これは遮閉板を右目からすばやく左目に移動し、その後左目から右目にすばやく戻すことを繰り返す試験です。
両眼が開放される瞬間がないことがポイントで、外斜視であっても外斜位であっても目は動きます。
しかも半透明板でなければ右目から左目に遮閉板を動かすとき、右目の動きはわかりますが左目の動きはわからないので、見える目の動きは常に外から内の方向です。
内斜視、内斜位の場合は内から外への動きになります。
交代遮閉試験はプリズムを使用すると斜視角の定量検査にもなります(プリズム交代遮閉試験 APCT: alternate prism cover test)。