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APMPPE 急性後部多発性斑状色素上皮症

APMPPEAcute posterior multifocal placoid pigment epitheliopathy(急性後部多発性斑状色素上皮症)の頭文字で、命名のごとく眼底後極に斑状の白斑を多発性に生じます。
左右眼で程度の差があっても通常両眼性で急性に発症します。
白斑は網膜深層のRPEレベルの変化で、フルオレセイン蛍光眼底造影検査 FAでは、[早期は低蛍光、後期には過蛍光を示す逆転現象]が有名です。
低蛍光の原因は脈絡膜毛細血管板への充盈遅延で、過蛍光は蛍光貯留やRPE障害による蛍光透過亢進によると考えられます。
脈絡膜毛細血管板レベルでの血管炎が病態として推測されていて、視力予後は比較的良好とされています。
岩田大樹, 南場研一: 白点症候群. あたらしい眼科 34:1725-30.2017

症例:26歳女性

4日前から右眼の見えにくさを自覚して、受診時の矯正視力は0.8/1.0でした。
右眼の後極部の網膜深層に癒合性の大小の白斑が散在、右眼にも小型の同様の白斑がみられました。
FAの早期では白斑は低蛍光(図中央黄矢印)を示すものの、後期になって過蛍光(図右黄矢印)になる蛍光の逆転がみられました。
特別の治療なしに2か月後には淡い萎縮を残して両眼とも正常視力に回復しました。

APMPPEとVKH

APMPPEは両眼性で急性に発症し、漿液性(滲出性と呼ぶべきかもしれません)網膜剥離を生じることもあることから、VKH(Vogt-小柳-原田病)https://meisha.info/archives/1017との鑑別が問題になるケースも存在します。
飯島裕幸: 原田病(Vogt-小柳-原田病)(11). 眼科 51:1587-8.2009
かつては両者の鑑別が困難とされたこともありますが、OCTにて脈絡膜断面画像を観察できる今日では、脈絡膜血管構造が失われて肥厚するVKHの特徴に着目すれば鑑別は可能でしょう。