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EKCの濾胞性結膜炎

流行性角結膜炎 EKC: Epidemic keratoconjunctivitis https://meisha.info/archives/2417はアデノウィルス(血清型:8, 19, 37, 53, 54など)によるウィルス性結膜炎で、急性期の結膜炎症状がおさまったあとも角膜上皮下混濁が残ることがあります。
一方、アデノウィルス3, 4, 7型の感染では咽頭炎と発熱を伴う咽頭結膜熱を生じます。
最近は両者をあわせてアデノウィルス結膜炎として扱う傾向にあります。
山添克弥, 秦野 寛: ウィルス性結膜炎臨床眼科 73:68-72.2019

急性濾胞性結膜炎

EKCは多くのウィルス性結膜炎と同様、急性濾胞性結膜炎の臨床像を示します。
濾胞はリンパ濾胞で、結膜上皮下層の結膜固有層の厚みが十分にある下眼瞼結膜で目立ちます。
高村悦子: 濾胞性結膜炎とは あたらしい眼科 34:839-40.2017

症例:1歳4カ月女児

両眼の充血と多量の眼脂を訴える患児が4日前に他院眼科で点眼薬を処方されたもののよくならないとのことで、筆者のいる病院眼科を受診しました。
ベッド上で抑えて下眼瞼を引き下げると著明な濾胞形成がみられました。

EKCの可能性が高く治まるまで1週間以上かかることを説明しました。
2週間後に再診した際の母親の話では、前回の受診翌日に今度は母親の左眼が充血と著明な眼脂を生じて他院にて抗原検査を受けた結果、アデノウィルス結膜炎と診断されたとのことでした。
幸い娘の両眼は正常化しており、母親も充血と眼脂はおさまっていましたが、母親の左眼には著明な角膜上皮下混濁がみられ、EKCだったと考えられました。
EKCの潜伏期は5日から2週間とされていることから、母親の左眼のEKCは娘からの感染だった可能性が高いと考えられました。