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ドライアイ

からだの表面を覆う皮膚角質でカバーされているので、乾燥に強く濡れていなくても平気です。
一方、からだ内部の空洞や管、すなわち鼻腔、口腔、消化管、気管、尿道などの表面は、乾燥すると表面の粘膜上皮細胞がひからびて死滅するため、表面は粘液に覆われ湿っています。
眼球表面の角膜や結膜表面も粘膜上皮で乾燥に弱いため涙で覆われています。
ドライアイで角膜上皮細胞が乾燥し脱落すると点状表層角膜症(SPK)を起こします。
https://meisha.info/archives/608
ただし[ドライアイは・・・・・眼表面の障害を伴うことがある]と定義されているように、ドライアイだからといって必ずしも角膜上皮障害を示す訳ではなく、両者の関係はオーバーラップです。

涙液減少型ドライアイとシルマー試験

ドライアイの代表は涙の量が減る乾性角結膜炎で、有名なシェーグレン症候群も含まれます。
涙で濡れたろ紙の長さを測るシルマー試験で5ミリ以下に短縮することが診断の要件です。
http://www.maeda-shoten.com/ss/shindantotiryo/
https://www.nanbyou.or.jp/entry/267
しかしこれは涙液減少型ドライアイというドライアイの病型のひとつであって、涙の量の不足がみられないタイプのドライアイもあります。

涙液膜tear filmと涙液メニスカス

フルオレセインナトリウムという蛍光色素で涙を染色し青い光で照らすと、角膜表面に拡がる涙の層が淡い黄緑色に染まり涙液膜(層)tear filmと呼ばれます。
涙に溶けた蛍光色素が黄緑色の蛍光を発するためです。
また眼球表面の角膜や結膜と下まぶたが接する部分にはやや幅のある黄緑色の線が観察できます。
これはこの部位に溜まった涙で、表面張力によって角膜または結膜表面に向かってせり上がる凹面を形成し、涙液メニスカスと呼ばれます。
涙の量は涙液メニスカスの高さで評価できます。

ドライアイの定義:診断基準

2016年に改訂された最新のドライアイの診断基準ではドライアイは角膜表面の涙の膜(涙液層:tear film)が不安定になる病気とされました。
涙液層の安定性の低下は涙液層破壊時間(BUT)で検査します。