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逆さまつ毛の仕組み

まつげ、すなわち睫毛(しょうもう)は上下のまぶたの縁から外に向かって生えて、角膜や結膜への異物の飛来侵入を阻止する役割があります。
逆さまつ毛はそのまつ毛が内側に向かい角膜に接触する状態です。
機械的に角膜上皮を障害する角膜上皮びらんをきたして、目の痛みや異物感などの症状を生じます。https://meisha.info/archives/608

逆さまつ毛の原因

逆さまつ毛の原因は、
1. 個々のまつ毛の生える方向の異常、
2. まつ毛が生える土台の皮膚の問題、
3. まぶたの骨格である瞼板の向きの異常
の3つに分類できます。
それぞれ睫毛乱生、睫毛内反、眼瞼内反と呼ばれます。
このうち睫毛乱生は上下のまぶたのいずれでもみられます。
一方睫毛内反と眼瞼内反は下まぶたにみられることが圧倒的に多いです。

下眼瞼牽引筋腱膜

上図の睫毛乱生の図に示される下眼瞼牽引筋腱膜(LER: Lower Eyelid RetractorまたはLLR: Lower Lid Retractor)は睫毛内反、眼瞼内反を理解する上で重要な構造物です。
下直筋と下斜筋を包むテノン嚢から下眼瞼の瞼板に延びる線維性の膜はCPF: CapsuloPalpebral Fasciaと呼ばれますが、LERはその一部で瞼板を後方に牽引しています。
LERからは眼輪筋の間を通って皮膚に向かう穿通枝が延びて皮膚の緊張を保っています。

Drake RA. Gray’s Anatomy, 40th ed: Elsevier. p671, 2008
野田実香. 眼瞼の解剖. In: 高比良雅之, 後藤浩, eds. 眼科臨床エキスパート:眼形成手術、眼瞼から涙器まで: 医学書院.25-30. 2016

先天睫毛内反ではLERから延びる穿通枝の発達が不良のため皮下組織のたるみによって、眼瞼皮膚が前方から上方に回転することで睫毛全体が角膜に向くようになります。
https://meisha.info/archives/589
加齢性(退行性)眼瞼内反ではLERが弛緩/断裂することで瞼板が内方に回旋することが逆さまつ毛の原因です。