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網膜色素線条ASの脈絡膜新生血管

滲出型加齢黄斑変性近視性脈絡膜新生血管https://meisha.info/archives/1437では黄斑部に脈絡膜新生血管CNVを生じ網膜下出血や浮腫のために視力が低下します。
網膜色素線条AS https://meisha.info/archives/1567でも同様のCNVによって視力が低下します。

タイプ2の脈絡膜新生血管CNV

ASでは断裂したブルッフ膜の隙間から、視細胞と網膜色素上皮で挟まれた網膜下腔に新生血管が伸びてきます。
網膜色素上皮の下で広がるタイプ1のCNVに対して網膜色素上皮の上に拡がるのはタイプ2のCNVと呼ばれます。

ASの新生血管

新生血管は通常小型で、フルオレセイン蛍光眼底造影写真FAによってはじめて確認できる程度のものも少なくありません。
図中央の赤矢印で示される新生血管は、左のカラー眼店写真で白矢印の付近に相当しますが、確認するのは困難です。

新生血管に対する治療

治療は抗VEGF薬硝子体注射です。
治療にはよく反応しますが、視力予後はあまり良好ではありません。
その理由としてASのブルッフ膜変化に伴う網脈絡膜委縮病変の拡大が関係しているようです。
盛秀嗣: 網膜色素線条に伴う脈絡膜新生血管の抗VEGF薬による管理. あたらしい眼科 36: 1165-1166, 2019.
委縮型加齢黄斑変性類似の委縮が中心窩を巻き込むことで視力予後不良になるケースが多い印象です。