網膜剥離RD: retinal detachmentには網膜裂孔が原因の裂孔原性RD https://meisha.info/archives/1883と非裂孔原性RDがあります。
裂孔原性RDでは視細胞と網膜色素上皮の間に、網膜裂孔を経由して流入した硝子体由来の水が網膜下液として貯留します。
一方、非裂孔原性RDの網膜下液は網膜血管あるいは脈絡膜由来の滲出液や漏出液です。
非裂孔原性RDのうち網膜下液が混濁する原田病や、黄白色の滲出物を含むコーツ病は滲出性RDと呼ばれます。
滲出性RDの網膜下液は炎症細胞や高濃度の蛋白や脂質を含みますが、そうではない中心性漿液性脈絡網膜症CSCでは網膜下液が透明でわかりにくく漿液性RDと呼ばれます。
胸水や腹水を漏出液と滲出液に区別しますが、似ています。
眼底下方で裂孔不明のRDを診た場合、裂孔原性か非裂孔原性かの鑑別は容易ではありません。
しかし非裂孔原性RDでは網膜下液の比重が硝子体よりも大きいので、頭位の変動によって下液が水平面を形成するように移動します。
図は多発性後極部網膜色素上皮症(MPPE:multifocal posterior pigment epitheliopathy)https://meisha.info/archives/3699の症例で、経過中に網膜色素上皮裂孔を生じて下液量が増加した非裂孔原性RDです。
頭部を左右に傾斜して下液が移動する様子を超広角眼底カメラで撮影しました。
一方網膜下液の由来が硝子体である裂孔原性RDでは、網膜下液と硝子体の比重の差はないので、このような下液の移動はみられません。