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CSCの治療:光線力学的療法PDT

中心性漿液性脈絡網膜症CSC: central serous chorioretinopathyに対するレーザー光凝固治療https://meisha.info/archives/1942にはいくつか問題点があります。

レーザー光凝固治療の問題点

1. 凝固後に網膜下液は吸収するが、その後の再発を防ぐ効果はないhttps://meisha.info/archives/1954
2. 漏出点が多発する例ではレーザー照射目標を決めるのが困難(左図のような例
3. 中心窩に漏出点があると、凝固で視力が永続的に障害される危険性がある

レーザー光凝固治療のこれらの問題点を解決してくれるのが光線力学的療法PDT: photodynamic therapyです。
ただし日本ではPDTによるCSC治療は現在のところ保険適応外です。

PDTはCSCの再発を抑制する

CSCに対するレーザー光凝固治療とPDTを比較した研究で、両者とも治療後に漿液性網膜剥離SRDは消失して視力も改善しますが、その後3年間の再発率はPDTで有意に低いことが報告されています。
Shin YI et al: Long-term results of focal laser photocoagulation and photodynamic therapy for the treatment of central serous chorioretinopathy. Jpn J Ophthalmol 64: 28-36, 2020.
網膜色素上皮を治療するレーザー光凝固に対して、PDTはCSCの主原因である脈絡膜https://meisha.info/archives/1954を治療ダーゲットにしていることがその理由と考えられます。
実際に、CSCの目の肥厚した脈絡膜は、レーザー光凝固治療では変化しないものの、PDTの4週間後には厚みが減ります。
またICG蛍光眼底造影検査で見られる脈絡膜の透過性亢進所見CVHもPDT後には軽減します。
Maruko I et al: Subfoveal choroidal thickness after treatment of central serous chorioretinopathy. Ophthalmology 117: 1792-1799, 2010.

面で治療するPDTは多発漏出に対応できる

レーザー治療での凝固スポットのサイズは最大0.5ミリメートル程度ですが、PDTで照射するレーザー光のスポットの最大直径はその10倍の6ミリメートル程度です。
漏出点が黄斑部に多発する症例であっても、一度にそのすべてをカバーできます。

光化学反応のPDTは中心窩漏出の治療が可能

熱凝固するレーザー光凝固に対して、光化学反応を利用するPDTでは使用するレーザー光の単位面積当たりのエネルギーはレーザー光凝固の1/100程度です。
そのために、中心窩付近から漏出する目であっても視細胞を凝固する心配がありません。

漏出点が中心窩にあっても凝固OK?

ただしレーザー光凝固でも、中心窩の漏出は必ずしも禁忌にはならないと筆者は考えています。
それは漏出点にあたる中心窩の網膜色素上皮をレーザー照射しても、その上方の中心窩視細胞の温度は網膜下液が存在するためほとんど上昇せず、凝固される心配はありません。
しかしそれでも中心窩の凝固はあまり気持ちのよいものではありません。