間欠性外斜視は成人にみられる最もポピュラーな斜視です。
外斜位と外斜視が混在する状態です。
両眼の視線が目標を向いている外斜位のときには、両眼視していますが、外斜視のときには両眼視は機能せず、そのため通常複視の訴えはありません。
治療を求めて来院する間欠性外斜視患者さんの訴えの多くは外見的改善https://meisha.info/archives/545か、眼精疲労https://meisha.info/archives/910です。
しかし特異な見え方の異常を訴えて受診する患者さんもいます。
その中には「車を運転中に横を走っていた車が急に近づいてくる」というのがあります。
例えば左目が優位眼の場合、右の車線を走行する隣の車は正面を向いている左目の耳側網膜に映るので右の車線にいることが認識されています。
一方外斜している非優位眼の右目にはこの隣の車は正面近くに見えるはずですが、「抑制」のため見えていません。
ところが輻湊して外斜位になる瞬間に、右車線の車が視野の正面近くに見えるため、急に寄ってきたと感じてしまうようです。
ただし隣を走る車が2台見えるわけではないので、この症状は複視とは呼べません。
これを適切に表現する用語は見当たりませんが、あえて言えば「側方像のジャンプ」ということでしょうか?
事故を起こしそうな危険性を感じるので患者さんにとって深刻です。
一方、最近受診した家族写真を撮影する写真館のカメラマンは「右目でファインダーを覗いていて左目で周囲をみている時に位置がわからなくなる。」と訴えます。
こちらも複視とは異なる見え方の異常といえます。