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結膜弛緩症による間欠性流涙

高齢者の流涙症の主な原因は鼻涙管閉塞で、その診断には涙管通水検査を行います。
涙点から注入した生食が喉に流れるにもかかわらず、流涙を訴える場合、原因として結膜弛緩症https://meisha.info/archives/2212が考えられます。

結膜弛緩症での流涙機序

結膜弛緩症では強膜から剥離した眼球結膜が、角膜輪部でひだを作って、正常の涙液メニスカスを占拠します。
その結果、異所性の涙液メニスカスhttps://meisha.info/archives/614が形成されて角膜表面の涙液膜が不安定になり、ドライアイ症状を生じます。

また結膜ひだは瞬目時の摩擦を亢進させ、ドライアイとともに異物感を生じるので反射性の涙液分泌が亢進ます。
一方で、下涙点に流れ込む涙液流路となる涙液メニスカスが結膜ひだによって遮断されることで流涙は増加します。

結膜弛緩症による流涙の治療

涙液膜の不安定性を解消する目的で、ムチン産生を促進するムコスタ(レバミピド)やジクアス点眼が奏功する場合があります。
点眼で症状の改善がみられない場合、検討する手術は下記の3種類に分類されます。

1. 結膜強膜縫着術
山田昌和: 結膜弛緩症. 眼科手術 25: 532-536, 2012.
2. 結膜焼灼術
鹿嶋友敬他: バイポーラ凝固鑷子による熱凝固の短縮効果を利用した簡便な結膜弛緩症手術. あたらしい眼科 27: 229-233, 2010.
3. 結膜切除術

結膜切除術

結膜切除手術には複雑な切除デザインの報告もありますが、治療のコンセプトは、ヒダになる余剰結膜を取り除くことと、下方角膜輪部に接する数mm幅の結膜を術後炎症によって下層の強膜に瘢痕癒着させてヒダにならないようにする2点です。