長時間の読書やコンピュータ作業では、目が重く目を開いているのがつらくなります。
これは[疲れ目]で遠くの景色を眺めるなどして目を休ませると回復します。
このような疲れ目の症状に加えて、目のまわりの痛みや霞んだ見え方などの目の症状や頭痛や嘔吐など全身の症状を伴う場合は眼精疲労と呼ばれ、一時的な休憩や睡眠では回復しません。
眼精疲労の原因はさまざまですが、若い近視に多いのが過矯正メガネです。
近視の度数は最適のメガネ度数で表され、その単位はジオプター(D)https://meisha.info/archives/300です。
例えば-3Dの近視の若者が-3.5Dあるいは-4Dのメガネをかけても、視力表の1.0の視標は読めます。
これは水晶体を厚くする調節https://meisha.info/archives/1507のおかげです。
このような最適の度数よりもマイナス側の近視レンズのメガネは過矯正メガネと呼ばれ、持続的な調節の負担のために、眼精疲労の原因になります。
過矯正メガネによる眼精疲労を理解する前に、スマートフォンの見すぎによる疲れ目について説明しましょう。
近視ではない正視の目では、裸眼で遠くの景色にピントが合っています。
(近視や遠視でも最適のメガネをかけていれば、同様に遠くにピントが合います。)
その状態で近くを見るには、調節によって毛様体筋を収縮させ水晶体の厚みを増してピントを合わせます。
しかし長時間運動すると腕や足が筋肉疲労を起こすように、長時間近い位置のスマートフォンを見続けると毛様体筋が筋肉疲労を起こします。
対策はスマートフォンを目から少し離したり、ときどき遠くの景色を見たりするなど、毛様体筋を休ませることです。
-3Dの近視(図最上段)の人が遠くの山を見るには-3Dのメガネをかけます。(図2段目)
この人が-3.5Dの過矯正メガネをかけると調節なしでは網膜にピントが合いません。(図3段目)
そこで毛様体筋を働かせて0.5Dの調節を追加してピントを合わせます。(図最下段)
この0.5Dの余分な追加の調節は近くをみているときも必要です。
すなわちこの人は、常に0.5Dの調節に相当する負荷を毛様体筋にかけていて、目を明いている間中休まることはありません。
そのため毛様体筋の筋肉疲労が蓄積して睡眠をとっても回復しない眼精疲労を生じます。
解決策は適正なメガネに作り直すことです。
メガネを作る際に[赤と緑の中の黒い線のどちらがくっきり見えますか]と尋ねられます。
これはレッドグリーンテストという過矯正をチェックする試験です。
緑の中の黒線が赤の中よりくっきりみえる場合(R<G)は過矯正です。
両者が同様に見える(R=G)またはやや低矯正(R>G)が目に優しいメガネです。
その詳しい説明は飯島裕幸著[これで納得 目の検査]を参照ください。
https://www.gentosha-book.com/products/9784344928879/