• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

上下斜視と非共同性斜視

内斜視と外斜視

眼位の異常である斜視では片目が外にズレる外斜視図上段)や内にズレる内斜視図下段)が一般的です。
眼球運動に関わる外眼筋の麻痺はなく、左右の目は自由に動かすことができます。
その結果右目で固視すれば左目がズレますが(図左欄)、左目で固視すれば今度は右目が同じだけズレて(図右欄)、共同性斜視comitant strabismusと呼ばれます。
共同性斜視では両目の相対的な位置関係が異常なので右目、左目のいずれが斜視ということは言えません。https://meisha.info/archives/150

共同性の上下斜視

共同性斜視には片目が上にズレるものもあります。
下図左では右目で固視すると左目が上にズレるので左上斜視と記載します。
右目に対して左目が上という相対的位置関係が保たれるので、下図右のように左目で固視すると今度は右目が下にズレて、右下斜視になります。
このように上下のズレが主体の共同性斜視は上下斜視と呼ばれます。

非共同性の交代性上斜位

一方、左右どちらの目で固視させても他方の目が上にズレる患者さんは交代性上斜位 DVD: dissociated vertical deviationと呼ばれます。
左右の目の相対的な上下関係が固視眼によって変化するので非共同性斜視 incomitant (noncomitant) strabismusです。
両目の異常の程度には左右差があり、下図の例では右のDVD > 左のDVDです。

左方視と右方視で上下ズレが変化する上斜筋麻痺

上斜筋麻痺のような片目の眼筋麻痺による眼位異常も非共同性斜視の仲間です。
上斜筋は眼球が内転した時に下転作用が強まるhttps://meisha.info/archives/2115ので、左の上斜筋麻痺(あるいは滑車神経麻痺)では右方視した際に左目の下転ができず上斜視が目立ちます。https://meisha.info/archives/2141