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視神経炎の分類と病因

視神経の解剖と視神経炎

視神経炎は、眼球後極の視神経乳頭に始まって眼窩内及び視神経管内を走行して頭蓋内の視交叉に至る視神経の炎症で、急性の視力低下や中心暗点などの視野障害を来します。https://meisha.info/archives/1490
炎症を生じる位置によって、視神経乳頭の腫脹を示す視神経乳頭炎と正常眼底を示す球後視神経炎に分類されます。

多発性硬化症MSと視神経脊髄炎スペクトラム病NMOSD

視神経は組織学的には網膜神経節細胞の軸索である神経線維とこれを支持するアストロサイト、それに神経線維周囲の髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトから成り、中枢神経系の特徴を備えています。https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%AB%84%E9%9E%98
そのため視神経炎の一部は中枢神経系の炎症性脱髄疾患である多発性硬化症MS: Multiple sclerosisや視神経脊髄炎NMO: Neuromyelitis opticaあるいはその拡大概念であるNMOスペクトラム病 NMOSD: NMO spectrum disordersに伴って見られます。
「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン」作成委員会. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017: 医学書院, 2017. https://www.neurology-jp.org/guidelinem/koukasyo_onm_2017.html

アストロサイトとオリゴデンドロサイトの自己抗体

このうちMSは遺伝的要因と環境的要因が関与する多因子疾患で病因は不明ですが、NMOSDの多くは抗アクアポリン4(AQP4)抗体(AQP4-Ab)陽性で、自己免疫機序によるアストロサイトの破壊が主要病態と考えられています。
AQP4は水分子を通す膜蛋白でアストロサイトの足突起に多く発現しています。
またオリゴデンドロサイトの表面には抗原性の強いミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質MOG:myelin-oligodendrocyte glycoproteinが発現していて、抗MOG抗体(MOG-Ab)陽性の脱髄性疾患はMS、NMOSDに続く第3のMS類似疾患として注目されています。http://www.msnet-japan.org/mog.html

抗AQP4抗体陽性視神経炎、抗MOG抗体陽性視神経炎

一方、眼症状のみを示す視神経炎患者で、血液検査でAQP4-AbやMOG-Abが陽性であれば抗AQP4抗体陽性視神経炎抗MOG抗体陽性視神経炎と呼ばれます。
最近報告された日本の33施設からの多施設スタディでは、非感染性視神経炎531例の自己抗体陽性の割合は表のごとくです。
Ishikawa H et al. Epidemiologic and Clinical Characteristics of Optic Neuritis in Japan. Ophthalmology 2019;126:1385-1398.

特発性視神経炎ION

上の表の両者陰性double-negativeのグループの一部にはMSの初発症状としての視神経炎が含まれますが、大部分は従来から特発性視神経炎ION: Idiopathic optic neuritisと呼ばれてきた病態に一致します。
特発性視神経炎は視神経に炎症病変があり、MS、NMO、感染症、虚血、腫瘍、遺伝性視神経症https://meisha.info/archives/993などを除外したものを指すとされています。