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白内障の手術結果に満足できない原因

白内障の手術を受けたが、症状が改善しなかったと訴える原因のひとつとして、老視による見えにくさを白内障のためだと誤って判断した可能性を、
2020/8/4の投稿:白内障VS老視https://meisha.info/archives/48で紹介しました。
順調な白内障の手術後に、患者さんが満足できないケースは、このほかにもあります。

(1)白内障の程度が軽度

白内障といってもその程度は、ほとんど失明に近い白内障(図左)から、正常に近い軽い白内障(図右)まで千差万別です。

たとえば濁りが強く矯正視力0.02だった目が術後に1.0になれば、通常[手術ですごくよくみえるようになった]と喜んでくれます。
しかし0.9が1.0になっても、[あまりよくなった気がしない]という感想をもつのは当然です。
これはシーリング効果と呼ばれます。シーリングというのは天井ということです。
0.9の視力のように正常の1.0までの間の視力の上昇幅が少ない場合は、治療による効果が実感できにくいということです。

(2)白内障だけではなかった視力低下原因

白内障の術後の目を観察すると眼内レンズは正しい位置にあり、濁りの取り残しもないのに、矯正視力が0.1程度の不良のままということがあります。
このようなケースでは、詳しく調べると水晶体の濁りである白内障以外の原因で視力が低下していたことがみつかります。
原因として角膜不正乱視、黄斑円孔(図)などの黄斑の病気、緑内障、弱視などがあります。

(3)手術による角膜障害

角膜の裏面にある内皮細胞が白内障手術の最中に大量に失われると、術後に角膜浮腫を生じて視力が回復しません。
水泡性角膜症と呼ばれ、高度の場合は眼痛も生じます。

(4)術後の遠視、乱視

通常、術後には、遠くの景色、あるいは手元の小さい文字がメガネなしではっきり見えます。
しかし遠視や乱視のために、そのいずれでもメガネが必要になるようだと満足度は低下します。
術前の正確な眼軸長の検査や乱視を矯正できるトーリック眼内レンズの使用で改善できます。