• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

脈絡膜血管腫

網膜下の橙赤色病変としてはPCV:ポリープ状脈絡膜血管症https://meisha.info/archives/4272が有名ですが、さらにサイズの大きい網膜下橙赤色病変をみた場合には脈絡膜血管腫の可能性があります。
脈絡膜血管腫には成人にみられる限局性(孤立性)脈絡膜血管腫circumscribed choroidal hemangioma: CCHびまん性脈絡膜血管腫diffuse choroidal hemangioma: DCHがあります。

限局性脈絡膜血管腫

限局性脈絡膜血管腫CCHは後極眼底にわずかに隆起する数乳頭径大程度の橙赤色病変として、通常、中年以後の成人にみられます。
フルオレセイン蛍光造影検査FA早期には網目状あるいは斑状の過蛍光像がみられ、後期には腫瘍全体が組織染による過蛍光を示します。
OCTでは血管腫に接する網膜色素上皮RPEの隆起として捉えられ、その上には漿液性網膜剥離や網膜浮腫を生じることがあります。

びまん性脈絡膜血管腫とSWS

びまん性脈絡膜血管腫は通常、Sturge-Weber syndrome (SWS) https://www.nanbyou.or.jp/entry/4308に伴ってみられます。
SWSは神経皮膚症候群のひとつで原因は不明ですが、GNAQ遺伝子の体細胞変異が関連しています。
Shirley MD et al.: Sturge-Weber syndrome and port-wine stains caused by somatic mutation in GNAQ. N Engl J Med 368:1971-9.2013
主要な徴候は以下のごとくです。
1. 顔面皮膚の毛細血管奇形(ポートワイン母斑https://meisha.info/archives/2750)、
2. 脳軟膜の血管腫
3. 皮膚病変と同側のびまん性脈絡膜血管腫と緑内障

びまん性脈絡膜血管腫

びまん性脈絡膜血管腫はトマトケチャップ様と形容される眼底の赤い色調変化が特徴で健側の眼底写真と比較すると容易に確認できます。
FAでは病変部位の背景蛍光が過蛍光を示しますが、その境界は不明瞭です。
多くは無症状ですが、漿液性網膜剥離を生じると視力が低下します。