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無症状のドルーゼンの診方

ドルーゼンは網膜下に貯留する老廃物で高齢者の黄斑部によくみられます。
滲出型や萎縮型の加齢黄斑変性AMD: age-related macular degenerationの前段階とされているので、以後の対応を専門病院にまかせたほうがよいと考えて、大学の網膜専門外来に紹介してくるケースがときどきあります。

症例:Mさん62歳女性

Mさんは白内障の定期チェックを受けていたA眼科医院から紹介されました。
軽度の白内障でかすむ左目ではなく、[症状のない右目の黄斑部に黄白色のドルーゼンが目立つがどうすればよいか]との相談でした。
右目の黄斑部に大小の斑状の軟性ドルーゼンが散在し、眼底自発蛍光では過蛍光、OCTではRPEとブルッフ膜の間のやや高反射物質として観察されます。
矯正視力は1.0で自覚症状なしです。

早期AMDと晩期AMD

AMDの病期は図のように早期と晩期に分類されて、ある程度以上の大きさのドルーゼンは早期AMDに分類される病変です。
柳靖雄: 加齢黄斑変性の治療指針. 眼科 64:1383-93.2022

加齢黄斑変性に対する治療

晩期AMDのうち黄斑部新生血管MNVを生じるnAMDに対して抗VEGF薬の硝子体注射https://meisha.info/archives/3237という効果的な治療法があります。
しかし早期AMDに対しては、進行を遅くするエビデンスのあるAREDS2サプリメント(ビタミンC、E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチンなど含有)のみです。
これはOTC薬局https://meisha.info/archives/252で購入することができることを説明し、Mさんには紹介元のA眼科医院で定期的にみてもらうよう指導しました。
安川力: 加齢黄斑変性とサプリメント. 日本の眼科 94:830-7.2023

ドルーゼン患者に対する指導

早期AMD患者さんの診療は3-6カ月に一度の視力、眼底検査になると思いますが、重要な点がひとつあります。
それは毎日片目を隠して右および左目の見え方をチェックして、おかしければ受診予約日でなくても眼科を受診することの徹底です。
[右目の見え方がおかしかったが2か月後に予約があったのでそれまで待っていた]として、抗VEGF薬の治療時期が遅れるケースはあってはならないことです。
患者さんにはこの点を特に注意しました。