• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

適切なメガネ指導のために

視能訓練士ORT

視能訓練士ORT: orthoptistとは[医師の指示の下に、両眼視機能に障害のある者に対するその両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行なうことを業とする者]と規定されています。(昭和四十六年法律第六十四号:視能訓練士法)
現在は両眼視機能の障害である斜視弱視患者さんの検査や訓練以外に、視力検査などの一般の眼科検査及び眼鏡処方もまかされています。

40年前の眼科医

筆者が新人眼科医だった40年以上前、ORTの人数は少なく弱視斜視の視能訓練にかかりきりで、大学病院眼科では初診再診患者さんの視力検査はORTではなく新人眼科医の仕事でした。
私はそのおかげでクロスシリンダーによる乱視調整も素早くできるようになり、ベテラン眼鏡士に教わりながらメガネ処方技術も上達しました。
その経験から今でも時間があれば遠用、近用メガネ処方は自分で行い、経験の浅いORTよりもよいメガネ処方ができている自信があります。

メガネ処方できない眼科医

ORTが増えた現在、大勢の患者さんをかかえて忙しい眼科医にはレンズ交換法での自覚的屈折検査やその応用であるメガネ処方の機会があまりなく、そのためメガネを処方[しない]あるいは[できない]眼科医が増えているようです。
しかしメガネトラブルhttps://meisha.info/archives/4848の患者さんに適切に対応するにはメガネの理解が重要で、それは実際のメガネ処方の経験によって得られます。

新人眼科医へのアドバイス

混雑している外来で視力検査やメガネ処方のトレーニングをするのは現実的ではありません。
そこで新人眼科医には以下の2点をおすすめします。
1. 入院中の病棟患者さんの視力検査を自分で行ってみる。
2. 外勤先の外来などで暇な時間帯にメガネ処方患者を予約して時間をかけて自分で処方してみる。
メガネ処方には難易度の違いがあります。
軽度近視の小児のメガネや高齢者の近用専用メガネhttps://meisha.info/archives/3875からメガネ処方を実践することをおすすめします。