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近視手術

近視の目では遠くの景色は裸眼だとぼやけて見えますが、メガネまたはコンタクトレンズの使用で解決するので社会生活に支障はありません。
例外は網膜に障害をきたす危険性のある強度近視です。
そのため近視の大半を占める弱度または中等度の近視を病気とは認識していない眼科医が多いことを[2020/8/24の近視は病気か?]https://meisha.info/archives/300で述べました。

一方で、外見的な問題や煩わしさからどうしてもメガネを掛けたくないという人も多くいます。
さらに掻痒感、安全性、経済性などの観点からコンタクトレンズではなく、近視を手術で治したいと希望する人は少なくありません。
今回はレーシック(LASIK)に代表される近視手術について考えてみましょう。

近視とは

近視ではない正視の目では遠くからの平行光線が、凸レンズ作用のある角膜と水晶体によって集光し網膜上にピントが合います(図上)。
それに対して近視では、角膜前面から網膜までの距離(眼軸長)が目の凸レンズ作用に比較して長いため遠くの景色がぼやける(図中央)ので、凹レンズのメガネやコンタクトレンズによって集光する位置を後方の網膜にずらします(図下)。

近視手術の戦略

近視には眼軸長が長くなる軸性近視と、角膜や水晶体の凸レンズ作用が強くなる屈折性近視の2種類があります。
多くの近視は軸性近視ですが、眼軸長を短くする現実的な手術法は残念ながらありません。
現在行われている近視手術の戦略は以下の2つです。
1. 水晶体の凸レンズ作用を弱める
2. 角膜の凸レンズ作用を弱める
1の水晶体に対する手術としては、白内障手術の際に移植する眼内レンズを調整する場合と、水晶体の前に凹レンズの眼内レンズを挿入するフェイキックIOL(有水晶体眼内レンズ手術)がありますが、詳しくは別の機会に説明します。

エキシマレーザーによる角膜近視手術

透明な角膜を正確に削ることができるエキシマレーザーを利用して臨床に応用された最初の近視手術はPRK(レーザー屈折矯正角膜切除術)です。
削る厚みを角膜中央から周辺に向けてなだらかに減らすことで、前方に凸の角膜の表面のカーブを弱め(曲率半径は大きくなる)、角膜の凸レンズ作用を減少させます。
しかし角膜表面を覆う角膜上皮が一時的になくなるので、治療後数日はとても痛いという欠点がありました。

LASIK手術

そこで角膜の表面には手をつけず、表層を薄くそいでフラップを作り、これをめくってその下にエキシマレーザーを照射して角膜フラップを元に戻すLASIK手術が近視矯正手術のスタンダードとなりました。
角膜表面には傷がないので痛みはほとんどありません。

フェムトセカンドレーザー

さらに角膜を削るのではなく、角膜内部に切開面を作ることができるフェムトセカンドレーザーを使い、角膜の内部から凸レンズ形の組織を抜き取る手術も一部施設では導入されています。
フェムトセカンドレーザーは千兆分の1秒という短い照射時間のパルスレーザーで、照射された角膜内部に小さな気泡が発生して、これをつなぐことで自由な形の切開面を角膜内部に作成できます。