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カタル性角膜潰瘍と眼瞼炎

カタル性角膜潰瘍https://meisha.info/archives/649は角膜周辺にみられる浸潤性病変です。
睫毛脂腺や汗腺の細菌感染である前部眼瞼炎https://meisha.info/archives/703に伴って生じます。

病変は角膜輪部と眼瞼縁が接する2, 4, 8, 10時の位置で、円周方向に弧状に拡がります。
楕円形あるいは複数の数珠状の白色浸潤病変で角膜輪部との間に透明帯が存在し、毛様充血を伴います。
病変の中央はフルオレセインナトリウムで染色される上皮欠損がみられます。

カタル性角膜潰瘍の病態

カタル性角膜潰瘍はブドウ球菌性前部眼瞼炎に由来する感染アレルギーと考えられています。
病態はブドウ球菌の細胞壁に含まれるプロテインAを抗原とするⅢ型アレルギーあるいはⅣ型アレルギー反応と考えられています。
横井則彦. カタル性角膜潰瘍. In: 井上幸次, ed. 眼科診療クォリファイ25 角膜混濁のすべて: 中山書店.124-30. 2014
Ⅲ型アレルギーでの考え方:プロテインAとIgM、補体から成る免疫複合体が周辺部角膜に沈着して好中球の浸潤によって角膜上皮障害をきたす。
Ⅳ型アレルギーでの考え方:Th1細胞によって誘導された細胞障害性T細胞(CTL)によって角膜上皮障害をきたす。

カタル性角膜潰瘍の治療

治療の主体は過剰な免疫反応を抑えるステロイド薬です。
そのため通常、抗菌点眼薬だけではなくフルメトロン(0.1)などのステロイド点眼薬が必要です。
また原因となった眼瞼内のブドウ球菌に対する内服抗菌薬も必要になります。
殺菌的に働くセフトリアキソンやサワシリンなどβラクタム薬、および長期的には静菌的に働くテトラサイクリン系のミノマイシンやマクロライド系のクラリスロマイシンが効果的とされています。