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輪部デルモイド

デルモイドシストdermoid cyst(皮様囊腫)https://meisha.info/archives/1316エピデルモイドシストepidermoid cyst(類表皮嚢胞)https://meisha.info/archives/1322はいずれも皮下の袋(嚢胞)です。
内面は表皮でカバーされて、垢である剥がれた角質が内部に充満します。

輪部デルモイド

名前が似ているために、よく間違えられる眼の病変に輪部デルモイドがあります。
角膜と結膜の境目にあたる(角膜)輪部に生下時から見られ、半球状の充実性病変で袋にはなっていません。
図のように黒目の一部が白く欠けて見えて、整容的にも目立ちます。

分離腫

輪部デルモイドは胎生期に角結膜に迷入した皮膚及び結合組織が異所性に増殖した先天奇形で分離腫choristomaと呼ばれます。
下耳側の輪部に多く、重層扁平上皮とその下の脂肪や軟骨などの結合組織(図右)でできています。
山田昌和: 角結膜デルモイド. In: 大島浩一 & 後藤浩 (Eds): 知っておきたい眼腫瘍診療(眼科臨床エキスパート). 医学書院, 東京, 423-426, 2015.
Shields JA, Shields CL. Atlas of eyelid and conjunctival tumors.  200-205 (Lippincott Williams & Wilkins, 1999).

ゴールデンハー症候群

輪部デルモイドに副耳)や耳瘻孔などの耳介の異常、あるいは脊椎の異常を伴うと、Goldenhar syndromeと呼ばれます。
https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/kenkyuhan_pdf2014/gaiyo039.pdf

弱視

輪部デルモイド組織は角膜実質内に侵入するため、その部分の角膜強度が低下します。
そのためデルモイドの存在する経線が弱主経線になるような遠視性の角膜乱視を生じて不同視弱視https://meisha.info/archives/515のリスクになることが視機能面での問題です。
ただし早期に手術を行っても乱視軽減効果にはつながらず、眼鏡などによる弱視治療が必要です。

表層角膜移植術

通常、整容目的の手術は小学校入学前に計画されます。
角膜の脆弱性を補強する意味と術後の偽翼状片の発生予防のために単純切除ではなく表層角膜移植術が行われます。
福岡秀記:輪部デルモイドに対する表層角膜移植術. あたらしい眼科 34: 827-828, 2017.
図は手術直後と4年後の写真です。