まぶたがピクピクすると訴える患者さんの多くは「眼瞼ミオキミア」です。
ストレスや睡眠不足などが原因で起こるまぶたの無意識の動きで、生活に支障をきたすことは通常ありません。
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一方、眼瞼痙攣(けいれん)ではまぶたを開け辛いために視覚が遮られ、物にぶつかったり、事故を起こすなど生活に支障をきたすことがあります。
自力では目が開けられず機能的失明状態にまで至ることもあります。
眼瞼痙攣診療ガイドライン委員会: 眼瞼けいれん診療ガイドライン. 日眼会誌 115: 617-628, 2011.
「まぶたの開けづらさ」は眼瞼下垂の患者さんの主たる訴えでもあります。
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実際、眼瞼下垂と診断されていた眼瞼痙攣の患者さんは少なくありません。
両者を区別するポイントのひとつは眉毛(まゆげ)の位置です。
眼瞼下垂では上まぶたの瞼板に付着する眼瞼挙筋腱膜の離断のために眼瞼挙筋の作用がまぶたにうまく伝わりません。
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その代わりに額の前頭筋を収縮させてまぶたを持ち上げようとします。
そのため額の皮膚が吊り上げられ眉毛の位置も上昇します。
一方眼瞼けいれんではまぶた周囲の眼輪筋などの筋肉が不随意に収縮します。
その影響で眉毛は引き下げられます。
眉毛の位置だけでなく、その形も上に凸の眼瞼下垂に対して眼瞼痙攣では逆ハの字形の特徴的な形で、診断には重要です。
両者の訴えは目が開きにくいことですが、その表現の仕方も微妙に異なります。
眼瞼下垂では「まぶたが下がる」と訴えますが、眼瞼痙攣では「まぶたが上がらない」と訴える場合が多いようです。