• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

光視症と閃輝暗点

光が見えるという訴えで眼科を受診する患者さんの症状は光視症と呼ばれます。
原因のひとつは閃輝暗点です。

閃輝暗点による光視症

閃輝暗点では視野の一部に光が見えた後、その周囲が見えなくなる暗点が広がります。
その後典型例ではさらに頭痛を生じますが、眼科を受診する閃輝暗点の患者さんでは頭痛を伴わないことも少なくありません。https://meisha.info/archives/965
閃輝暗点は脳の後頭葉表面で生じる異常な興奮/抑制の波皮質拡延性抑制:CSD)が原因です。https://meisha.info/archives/972

閃輝暗点は両眼にみえる

後頭葉での視覚情報は左右両目からの信号が合わさって伝わるので、閃輝暗点の光視症は左右どちらかの目ということはありません。
[光が見えたのはどちらの目ですか?]という質問に例えば[左上の方」と答えた患者さんに注意深く確認してもらえば、右目と左目それぞれの視野の左上に見えるはずです。

片目に起こる光視症

一方、どちらかの目だけに起こる光視症もあり、その原因は脳ではなく、通常は目の網膜で、飛蚊症https://meisha.info/archives/446に伴ってよく見られます。
飛蚊症の主な原因のひとつは硝子体の変性で、硝子体ゲルの濃縮に伴い、網膜と癒着している硝子体膜が網膜を牽引します。
通常光を感じる際は、網膜の最外層の視細胞が光を受容して、そのシグナルが網膜内層の双極細胞や神経節細胞の軸索に伝えられます(図左)。
この経路の途中にある神経細胞が牽引による機械的な刺激で興奮すると、光がなくても光としての信号を脳に送る結果、光視症を生じます(図右)。