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棒状光源使用の赤ガラス法

赤ガラス法

赤ガラス法はペンライトの点光源を使用した複像検査で、水平と上下の複視を評価します。
石川弘: 複像検査(赤ガラス試験). In: 石川弘 (Eds): 神経眼科診療のてびき 第2版. 金原出版, 61-63, 2018.
しかし後天性の滑車神経麻痺https://meisha.info/archives/2404代償不全型の上斜筋麻痺https://meisha.info/archives/2141では水平/上下複視回旋複視が加わります。
回旋複視も合わせて評価するには棒状光源を使う赤ガラス法が便利です。

棒状光源使用の赤ガラス法

図左上のような棒状の白色光源を検者の背後のホワイトボードに横になるよう設置します。
これを右目に赤ガラス左目は素透しのメガネで眺めてもらうと、右眼像が赤棒、左眼像が白棒として観察されます。
上下/回旋複視を訴える図左下の38歳の患者さんに、観察される像をスケッチしてもらうと、右図のように右目の像が下方にあって内方回旋しています。

右目の代償不全型上斜筋麻痺

視の像は視線の向きと逆方向https://meisha.info/archives/365なので、右の上斜視でしかも右目は外方回旋していることになり、右目の上斜筋麻痺だということがわかります。
回旋複視もあるのですが、このケースでは上下複視が訴えの主体であることが理解できます。
なお棒状の白色光源は百円均一ショップで探すと適当な大きさのものが見つかります。