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結膜の構造と結膜炎

結膜の構造

眼球の壁は黒目にあたる角膜と白目に当たる強膜から成ります。
強膜の表面を覆う半透明の眼球結膜は、上下のまぶたの裏を覆う眼瞼結膜結膜円蓋部でつながり、結膜嚢という袋を作っています。
その袋の入り口は上下のまぶたでできる瞼裂で、袋の底は角膜になります。

結膜炎の3大原因と3大症状

結膜炎の3大原因はウィルス感染、細菌感染、アレルギーです。
それらの3大症状は目ヤニ(眼脂)、充血、痒み(掻痒感)です。
結膜炎でみられる目ヤニの主体は炎症のために集合した白血球の死骸です。
ただし正常の目でも脱落した結膜上皮細胞やその分泌物が目ヤニとしてみられます。
また白血球から放出される化学物質(サイトカイン)で血管が拡張して充血)を生じ、白血球の仲間である肥満細胞から放出されるヒスタミンによって痒みを生じます。

結膜炎の検査

結膜炎の原因は、微生物学的検査(目ヤニの塗抹検査や細菌培養検査)や免疫学的検査(EKCのアデノチェックやアレルギー性結膜炎のアレルウォッチ)で調べます。
しかし検査を省略して症状と見た目(眼所見)で以下のように診断されることもあります。

ウィルス性結膜炎

比較的若年者の白目が真っ赤で、大量の目ヤニとまぶた裏面の結膜濾胞が見られれば、ウィルス性結膜炎の可能性が高まります。
アデノチェックが陽性であれば、感染力の強いアデノウイルスによる流行性角結膜炎(EKC)https://meisha.info/archives/2417と診断され、感染拡大予防の注意をして、症状が治まるのを待つことになります。
EKCでは角膜上皮下浸潤を生じることもあり、その治療としてステロイド点眼を使用しますが、ウィルス感染自体をおさえる目薬はありません。
アデノチェック陰性の場合、細菌性の可能性も考慮して抗菌点眼薬が処方されます。

アレルギー性結膜炎

年齢にかかわらず両目の痒みが主体で、目ヤニや充血が比較的軽症であればアレルギー性結膜炎の可能性が高いです。
花粉症など季節性のアレルギー性結膜炎の既往があり花粉の飛散時期であれば、それ以上の検査なしで抗アレルギー点眼薬https://meisha.info/archives/844が処方されます。

細菌性結膜炎

上記2者に比べて細菌性結膜炎の症状には、明らかな特徴はありません。
充血はそれほどでもないのに目ヤニが気になる高齢者では、細菌性結膜炎を疑って抗菌点眼薬が処方されます。
ただし病的な目ヤニの原因としては、涙嚢炎ブドウ球菌性の眼瞼炎のこともあるので注意が必要です。
また目ヤニはわずかで充血が主体の場合は上強膜炎点眼薬の副作用の可能性https://meisha.info/archives/274も考慮すべきです。
抗菌点眼薬が効かない場合は、細菌培養検査と薬剤感受性検査を追加するとともに、上記の鑑別疾患を検討します。