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無色素性網膜色素変性

指定難病である網膜色素変性https://meisha.info/archives/726の診断基準https://www.nanbyou.or.jp/entry/337には、眼底所見として以下の6点が記載されています。
1. 網膜血管狭小
2. 粗造な網膜色調
3. 骨小体様色素沈着
4. 多発する白点
5. 視神経委縮
6. 黄斑変性

網膜色素変性の眼底所見

上記のうち4. と5. 以外は図の眼底写真で見ることができます。
網膜色素変性でもアーケードの主幹静脈は正常に近い管径を示しますが、通常その2/3の太さとされる動脈は狭小化して糸のようにしか見えません。
正常な網膜色調図に示すように赤味がありますが、粗造な網膜色調とはその周辺に見られる白っぽいざらざらした外観の部分のことです。
黄斑変性の典型はBull’s eye黄斑症と呼ばれる変化で、図の赤みの強い中心窩周囲を取り囲む輪状部分です。
この変化の典型はクロロキン網膜症https://meisha.info/archives/1380で見られます。

4. の白点は白点状網膜症(以前の白点状網膜炎)で見られ、停止性の夜盲症である白点状眼底と同様の眼底変化を示す網膜色素変性の亜型です。https://meisha.info/archives/1873
5. の視神経委縮は高度に進行した網膜色素変性で見られます。

骨小体状色素沈着

顕微鏡写真でみる骨細胞(osteocyte)は、樹状の細胞質を細く長く骨基質の中に伸ばすので昔は骨小体と呼ばれました。
網膜色素変性の[色素]の由来である骨小体状色素沈着はそのような骨細胞の形に類似する黒色の色素沈着を指し、網膜血管にからみつくように見られます。
しかしこの特徴的な色素沈着を欠く網膜色素変性も存在し、無色素性網膜色素変性と呼ばれます。

無色素性網膜色素変性

下記文献中には無色素性網膜色素変性の説明として[なかには、色素沈着のみられないものがあるが、注意深く観察すると網膜の色調は粗造である]と記載され、また[初期の網膜色素変性では色素沈着などの変化に乏しい]とも記載されています。
村上晶, 吉村長久. 〈眼科臨床エキスパート〉 網膜変性疾患診療のすべて 医学書院; 2016.
実際に長期間、経過観察すると、当初[無色素性]であった網膜色素変性の症例が、骨小体状色素沈着を示す典型的な眼底所見に変化することがあります。