• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

超広角眼底カメラ

オプトスは眼底のほぼ全体を無散瞳でも撮影できる超広角眼底カメラです。
走査型レーザー検眼鏡システムによって画角200度で眼底を撮影できます。https://www.nikon.co.jp/technology/product/retinal-imaging/index.htm
2013年頃から眼科の臨床研究論文にも盛んに登場するようになりました。
大学病院など研究施設だけでなく、個人の眼科診療所にも多く導入されています。
その理由のひとつは裂孔原性網膜剝離の原因となる眼底周辺部の網膜裂孔が簡単に撮影できることです。

裂孔原性網膜剝離の予防レーザー光凝固治療

裂孔原性網膜剝離は手術しないと失明に至る病気で、https://meisha.info/archives/1883その原因は網膜に穴が開く網膜裂孔です。

網膜が剥がれる前に網膜裂孔が見つかれば、手術ではなく外来でのレーザー光凝固で予防治療が可能です。https://meisha.info/archives/856

飛蚊症患者の診察

網膜裂孔ができると多くの患者さんは飛蚊症を自覚して眼科を受診します。https://meisha.info/archives/446
ただし飛蚊症の多くは生理的飛蚊症で、網膜裂孔がみつかるのは数十例に1例くらいです。
以前は網膜裂孔がないかどうか散瞳薬を点眼して眼底検査をしました。
しかし散瞳すると診察終了後も数時間はまぶしく、車の運転に支障をきたすこともあるので、事前に患者さんに検査内容を説明して同意を得る必要がありました。
また小さな網膜裂孔の見落としがないよう眼底周辺までチェックするのは、眼科医にとって負担でした。

オプトスによる網膜裂孔検査

ところがオプトスの登場により散瞳することなく写真撮影できて、網膜裂孔の有無を容易に確認できるようになりました。
散瞳検査の説明と同意取得を省略でき、時間をかけて周辺部の眼底をチェックする手間が省ける夢のような話で、1000万円を超えるオプトスが売れる大きな理由のひとつです。
図左はオプトスで撮影した右目耳側上方の2個の網膜裂孔、図右はレーザー光凝固治療直後の写真です。

オプトスと通常の眼底カメラ

通常の眼底カメラでは散瞳薬点眼で5-6ミリメートル以上に広がった瞳孔を通して、正面から眼底の中央部(後極部)の写真を撮影します。
無散瞳型眼底カメラでも暗室で瞳孔が自然に広がった状態で同様に撮影します。
一方、オプトスに代表される超広角眼底カメラでは、瞳孔を中心にしてレーザー光を回転させて眼底を走査します。
取得した画像情報をコンピューターで再構築して出力するので、散瞳薬の点眼なしの2-3ミリメートルの瞳孔で、周辺部まで含めた眼底全体の写真が得られます。
飯島裕幸. これで納得、目の検査: 幻冬舎. 2020