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蛍光眼底造影検査とアナフィラキシーショック

フルオレセイン蛍光眼底造影検査 FA: Fluorescein angiogramの画像は、網膜静脈閉塞症(CRVOとBRVO)https://meisha.info/archives/2221糖尿病網膜症 (DR) https://meisha.info/archives/3089など、網膜血管病の診断や治療方針の決定に必要です。
また脈絡膜血管を画像化するICG蛍光造影検査 IA滲出型加齢黄斑変性 eAMD: exudative age-related macular degeneration (or nAMD: neovascular AMD) https://meisha.info/archives/119の診断や治療に重要です。

FA、IAの副作用

しかし造影剤を静注するためアナフィラキシーショックなど生命にかかわる重篤な副作用のリスクがFAやIAにはあります。
その頻度は2011年に発表された日本眼科学会のガイドラインhttps://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/ganteikijun_r.pdfによれば表のごとくです。
湯沢美都子 他:眼底血管造影実施基準(改訂版). 日本眼科学会雑誌 115:67-75.2011

表中の中等症の副作用には発疹、失神、迷走神経反射などがあり、重症は気管支痙攣、喉頭浮腫、アナフィラキシーショックなどとされています。
1万件を超える調査数の報告に限ると、重症副作用の頻度は2万回に1回程度と非常にまれですが、万が一ショックを生じた時の対応に不安があるため、FA、IAの造影検査は個人の眼科診療所ではあまり行われません。

総合病院でのFA、IA検査とコードブルー

大学病院など総合病院の眼科では副作用のリスクと検査の結果得られる診療上のメリットを比較し、十分なインフォームドコンセントを得た上で、FAやIA検査を行います。
万一アナフィラキシーショックを生じて患者さんの意識が無くなった場合、多くの眼科医は救急救命処置に慣れていませんが、[ドクターブルー]あるいは[コードブルーhttps://www.kango-roo.com/word/4248などの院内放送で救急科や麻酔科の医師がただちに現場に急行する院内のシステムがあり、対応できます。
ちなみに似たような院内放送で[コードホワイト]というのは、病院内で大声で暴れるモンスターペイシャントなどが現れた状況下で、警察OBなどの警備員や病院スタッフが駆けつけるシステムです。