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白内障手術を勧める3条件

白内障の目薬https://meisha.info/archives/782をもらいながら、数カ月ごとに通院していた患者さんが、[そろそろ手術をしたほうがよいですよ]と眼科医から言われることがあります。
白内障手術は現在日本国内で年間100万件以上https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/cataract/museum/statistics/行われているポピュラーな手術ですが、多くの患者さんにとって手術の決断は高いハードルで、ためらうひとも少なくありません。
そもそも眼科医はどのような判断で患者さんに白内障手術を勧めるのでしょうか?

白内障手術を勧める眼科医の心理

英国の登山家ジョージ・マロリーは[何故エベレストに登るのか?]と問われて[そこに山があるから]と答えました。
眼科医は[そこに白内障があるから]手術をするわけではありません。
手術をする眼科医にとって[手術を受けてよかった]という患者さんの言葉が最高の幸せです。
そのための条件は以下の3点です。

1. 見えにくさのために日常生活や仕事で困っている

それなりの濁りの白内障があって視力も0.5程度に低下しているのに、TV視聴や読書に困っていない高齢者は少なくありません。
そのようなケースでは手術で視力が向上しても、眼内レンズの度数ズレや夜間のグレアなどで手術結果に満足されないことがあります。
そのため現在の見え方に不満のない患者さんに対して、私を含め多くの眼科医は手術を勧めません。

2. 見えにくさの主因が白内障である

白内障以外に視力低下の原因がなければ、白内障手術で視力を回復できます。
しかし白内障以外にも見えにくい原因が存在することはよくあります。https://meisha.info/archives/3184
[見えにくいのが離れたTV画面なのか、手元のスマートフォン画面なのか?]https://meisha.info/archives/48、[視野全体がかすんで見えにくいのか、視野の一部が見えにくいのか?]https://meisha.info/archives/3184など、患者さんの訴えを詳しく聴き出し、見えにくさの主要な原因が白内障だと確信した上で手術を勧めます。

3. 手術の負担よりも、白内障手術での見え方の改善メリットが大きい

白内障があって手術で見やすくなることが期待されても、たとえば脳梗塞の後遺症で寝たきりの患者では術前の眼科検査や全身検査の負担が大きくなるので、手術を勧めないことがあります。
もちろん両目の白内障が高度でほとんど見えていないような場合には、手術準備の負担があっても白内障手術を勧めます。

白内障手術の進歩

筆者が眼科医になった1970年代の白内障手術水晶体嚢内摘出術 (ICCE)で、眼内レンズ (IOL) の移植ができないために術後は分厚い凸レンズメガネが必要でした。
その後、水晶体嚢外摘出術 (ECCE) によってIOL移植が可能になり、超音波乳化吸引術 (PEA)によって切開創の小さい合併症の少ない手術法へと進歩しhttps://meisha.info/archives/793、現在では上記の3つの条件をクリアして手術トラブルがなければ、ほとんどの患者さんは満足してくれます。