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不等像視による眼精疲労とモノビジョン

眼位異常、特に間欠性外斜視や角度の大きい外斜位眼精疲労https://meisha.info/archives/910の原因です。
持続する両目の内直筋の緊張が主な理由ですが、左右の目の像のズレを一致させる脳機能の融像も疲労の原因です。
融像負荷による眼精疲労不等像視でも生じ、これは屈折度数が左右眼で大きく異なる不同視を完全矯正した場合に生じます。

症例:Aさん72歳女性

Aさんは3年前に両眼の白内障手術を受け、その術後に処方されたメガネを常用していると目が疲れるという訴えで受診しました。
視力は
右: 0.05 (1.2 x -6.5D)
左: 0.1 (1.2 x -3.5D cyl -1.0D Ax 90)
どのような経緯で2.5Dの不同視の眼内レンズ挿入になったのかは不明です。
そして所持メガネは
右:-6.5D
左:-3.5D cyl -1.0D Ax 90
完全矯正されています。
新聞を読む際はメガネをはずして裸眼でみますが、普段の家事などではメガネをかけています。
その際両眼視で遠方の対象の大きさがずれて見えることはありません。

不等像視による複視

複視には水平、上下、回旋の複視がありますが、https://meisha.info/archives/1542実は左右眼の像が重ならないという意味では不等像視による複視も問題になります。
これは3D以上の不同視の目を完全矯正した際に生じるとされています。
Aさんの近視は右目のほうが強くその分強い凹レンズで矯正します。
すると図のように右目の網膜像のほうが左目よりも小さくなります。

ただし差が2.5D以下の不同視では完全矯正しても脳の融像機能により複視を生じません。
Aさんはこの限界ぎりぎりのメガネをかけていました。
ただし融像機能の良好な若年者では眼精疲労なくメガネをかけることができますが、融像機能が低下してきた高齢者のAさんでは融像の負担が大きく、不同視の完全矯正メガネの常用によって眼精疲労を生じたと思われます。

モノビジョンメガネ

そこで以下の左右の度数差のないメガネに処方しなおしました。
右:-3.75D
左:-3.5D cyl -1.0D Ax 90
このメガネをかけて両眼視はできませんが、遠見は左眼で、近見は右眼を使用するモノビジョンhttps://meisha.info/archives/188が可能になります。
眼精疲労も解決し、近業の際にメガネをはずす手間もはぶけて一挙両得の結果でした。