• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

MGDと眼瞼清拭

涙の油層とマイボーム腺

涙の表面は油層https://meisha.info/archives/1172で覆われています。
その油は上下のまぶたの後葉に存在する瞼板内のマイボーム腺https://meisha.info/archives/2964から分泌されます。

マイボーム腺機能不全:MGDとドライアイ

MGD:マイボーム腺機能不全( Meibomian gland dysfunction)https://meisha.info/archives/1179は主にはこの油が不足するマイボーム腺の異常です。
いまだ不明な点が多いとの指摘はあるものの[一般に蒸発亢進型ドライアイの主要な原因]と考えられています。
ドライアイ診療ガイドライン. 日本眼科学会雑誌 123:489-592.2019 のp495
そのMGDの新たなガイドライン GLが2023年に発表されました。
マイボーム腺機能不全診療ガイドライン. 日本眼科学会雑誌 127:109-228.2023
その中でMGD診療における治療の基本は[眼瞼清拭, 温罨法, うっ滞したmeibum の圧出]とされています。GL論文のp124

眼瞼清拭(ガンケンセイシキ)

このうち眼瞼清拭はわかりにくい日本語ですが、英語ではlid hygiene(直訳するとまぶたの衛生)と呼ばれ、[まぶた(眼瞼)の特にまつ毛の根元(眼瞼縁)を清潔に保つ]という意味です。
眼瞼清拭(リッドハイジーン)の実施法は動画でみることができます。
https://www.lime.jp/main/mgd/treatment

眼瞼清拭で使用する洗浄剤

動画ではコットンパッド(商品名:オキュソフト)や綿棒とともに、液体洗浄剤(商品名:アイシャンプー)や洗浄フォーム(商品名:ティーツリー洗浄フォーム)を使用しています。
()内の商品はネット購入できますが、いずれも千円~数千円程度します。

マイボーム洗顔

ところが、このような高価な商品を使用せずに行う眼瞼清拭が[マイボーム洗顔]として2023/3/9放送のNHK[あしたが変わるトリセツショー]で紹介されました。
その内容は今でも下記でみることができます。
https://www.nhk.jp/p/torisetsu-show/ts/J6MX7VP885/howto/166/
[トリセツショー]は[(ためして]ガッテン!]の後継番組で、筆者は上記の番組の再放送を最近視聴しました。
番組に登場していた有田玲子医師、天野史郎医師はMGDのガイドライン作成の中心ですから、[マイボーム洗顔]の効果は信頼してよいと思います。
コットンパッドを使用する方法も紹介されていますが、洗浄剤なしのお湯だけで行う方法が紹介されています。

ブログ著者の方法

ちなみにブログの筆者はドライアイではありませんが、起床時の洗顔では閉瞼して睫毛部の上まぶた皮膚を眼球を軽く圧迫するように、三本指の腹でマッサージしています(図のピンク色部)。
おそらくこれでもMGD予防になりますし、起床時のみの眼脂を訴える多くの高齢患者には、抗菌薬点眼ではなくこの方法をすすめています。