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ヘスチャートの読み方 2:両眼同大

前回、片眼性の眼球運動障害のヘスチャートを説明しました。https://meisha.info/archives/4863
片眼性では左右の[田の四角]の大きさが異なり、小さいほうが眼球運動障害のある目です。
さらにその[田の四角]で最も大きく移動している辺または頂点が眼球運動障害の方向を示します。

共同性では左右同じ大きさ

今回は[田の四角]の大きさが左右で同じケースを扱います。
このパターンの典型は共同性斜視でみられます。
内斜視や外斜視で抑制がかかっている場合は複視を訴えませんが、そうでないケースでは両眼視機能があるため複視を訴え、ヘス赤緑試験で記録できます。
その際、左右いずれも眼球運動障害はないので、[田の四角]の大きさは左右同じです。
図左の内斜視では同じ大きさの[田の四角]が左眼では右へ、右眼では左に移動しています。
図右の外斜視ではその逆です。

左右同大の非共同性(麻痺性)斜視

非共同性(麻痺性)斜視であっても眼球運動障害が左右対称性の場合は[田の四角]の大きさは左右で等しくなり、共同性斜視と似たパターンになります。
開散麻痺型のsagging eye 症候群https://meisha.info/archives/2717では、共同性内斜視と同様のヘスチャートになります(図左)。
外傷性の滑車神経麻痺では両側の滑車神経が同等に障害されるため、上下ズレが目立たない外方回旋偏位主体の複視を訴えます。https://meisha.info/archives/2404
そのヘスチャートは図右のように上方に開いたV型パターンが特徴です。