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CRVOとBRVOの急性期、晩期合併症

CRVO(Central retinal vein occlusion: 網膜中心静脈閉塞症)とBRVO(Branch retinal vein occlusion: 網膜静脈分枝閉塞症)は網膜中心静脈の本幹またはその網膜内の枝が血栓によって閉塞する網膜血管病で(図左)、静脈内圧の上昇により溢れ出た赤血球が眼底全体(図中央)または一部(図右)に出血として観察されます。https://meisha.info/archives/552

急性期の黄斑浮腫

CRVOとBRVOいずれにおいても、黄斑浮腫が急性期の主たる合併症です。
赤血球だけでなく、液体の血漿が血管外に漏れ出ることで網膜が膨化して視力を低下させます。https://meisha.info/archives/561

虚血型CRVOと虚血型BRVO

ところでCRVOとBRVOはいずれも虚血型と非虚血型に分類されます。
このうち虚血型では蛍光眼底造影写真FAあるいはOCTAにて毛細血管が脱落するNPA(nonperfusion area:無灌流野)が広く観察されて(図左:虚血型CRVO図中央:虚血型BRVO)虚血で低酸素に陥ったNPA内の網膜神経細胞はVEGFを産生します(図右)

晩期虚血合併症

NPAが眼底全体に広がる虚血型CRVOではVEGFが硝子体を経由して虹彩、隅角で新生血管を生じ、晩期合併症として隅角閉塞をきたす血管新生緑内障を生じます。
一方虚血型BRVOでは眼底の一部に広がるNPAからのVEGFが隣接する網膜部位に作用して網膜新生血管を生じ、これが破綻することで硝子体出血が晩期合併症としてみられます。
予防のための治療はいずれもNPAに対するレーザー光凝固治療https://meisha.info/archives/2221です。