複視の像は視線の向きと逆方向にズレることを以前に説明しましたhttps://meisha.info/archives/365。
たとえば滑車神経の麻痺https://meisha.info/archives/2404では、眼球を内方回旋させる上斜筋が働かなくなります。
その結果、眼球は外方に回旋するため視界は内方に回旋して、図のような混乱視https://meisha.info/archives/5322を生じます。

このような視界の回転による回旋複視の症状を患者さんが説明するのは簡単ではありません。
一方、これを眼科医が確認するためには下記のような検査があります。
1. Maddox ダブルロッドテストhttps://meisha.info/archives/1773
赤と透明のマドックス杆を垂直方向に試験枠に装着して(図上段左)、ペンライトの光をみてもらうと水平方向の赤線が右目に、白線が左目にみえます。
どちらかの目が外方回旋して複視を自覚するケースでは、他眼像に対して内方回旋するような傾いた線が見えます(図上段右)。
回旋複視だけでなく、水平や上下複視を伴う場合は図下段のようにみえる場合もありますが、左目の白線と右目の赤線が他方に対して内方回旋している点は共通しています。

2. 棒状光源+赤ガラスhttps://meisha.info/archives/2457
右目が赤ガラスのメガネ(図中央)を装用して、遠方の白色棒状光源(図左)を見てもらうと、右目の滑車神経麻痺では図右のように右眼像の赤線が内方回旋して下方に見えます。

3. ヘス赤緑試験https://meisha.info/archives/4608
左右眼で見える像のズレを検出する上記1. 2. とは異なり、ヘス赤緑試験は左右眼球の動く範囲をみる検査です。
像が内方回旋する滑車神経麻痺では眼球は外方に回旋するので、そのようすがヘスチャートの[田の四角]https://meisha.info/archives/6046にそのまま反映されて、図のような[V]字型のパターンになります。

4. シノプト9方向眼位
眼球の外方回旋(ex)、あるいは内方回旋(in)の角度が何度なのかを定量的に評価するには、シノプト9方向眼位検査で、図の赤四角をチェックします。
