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角膜潰瘍

角膜の表面は角膜上皮細胞で覆われていて、その傷は角膜上皮びらんあるいは点状表層角膜症(SPK)と呼ばれます。https://meisha.info/archives/608
角膜上皮の下には角膜全層(0.5-0.6mm)の厚みの90%以上を占めるコラーゲン線維でできた角膜実質があり、ここに傷が及ぶと角膜潰瘍とよばれます。
角膜上皮びらんと角膜潰瘍の関係は胃炎と胃潰瘍の関係に似ています。

細菌性角膜潰瘍

角膜潰瘍の原因で最も有名なのは細菌性角膜潰瘍です。
稲穂による突き目やコンタクトレンズのトラブルなどが原因です。
増殖する病原性細菌の毒素(コラゲナーゼ)によってコラーゲン線維が溶けて角膜実質が掘れていく病気です。
細菌性結膜炎よりもはるかに重症で、目の痛み(眼痛)と充血が目立ち、視力も低下します。
角膜には血管がないため、角膜潰瘍の病巣自体への白血球の供給が乏しく、前房蓄膿を生じて治療は難渋します。https://meisha.info/archives/1009
抗菌点眼薬の頻回点眼と抗菌薬の点滴治療を行いますが長期の入院になることも少なくありません。

真菌性角膜潰瘍

細菌ではなく真菌感染による真菌性角膜潰瘍の治療はさらに厄介です。多くの種類がある抗菌点眼薬に比べて抗真菌点眼薬のレパートリーが貧弱なためです。
市販薬としてはピマリシン点眼薬とその眼軟膏しかありません。
皮膚真菌症に使用される注射薬を点眼用に調整して使用することもあります。

非感染性の角膜潰瘍

細菌や真菌による感染性角膜潰瘍以外に免疫反応の異常による非感染性角膜潰瘍もあります。
関節リウマチにみられる角膜潰瘍は自己免疫反応によって局所に集結した白血球から分泌されるコラゲナーゼによって角膜潰瘍を生じます。
治療は抗菌薬ではなくステロイドの点眼になります。
カタル性角膜潰瘍は眼瞼縁で増殖したブドウ球菌抗原に対するアレルギー反応なので治療にはステロイドを使用します。https://meisha.info/archives/649
https://meisha.info/archives/714

感染性と非感染性角膜潰瘍の違い

感染性角膜潰瘍の多くは角膜周囲の輪部から離れた場所にみられます。
輪部の血管から遊走してくる白血球の影響を受けにくいためです。
これに対して非感染性角膜潰瘍は輪部の血管によって供給される白血球によって生じるので、角膜周辺にみられます。