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CSCに対する経過観察 VS 治療

中心性漿液性脈絡網膜症 (CSC)は漿液性網膜剥離SRDが黄斑に生じる病態です。https://meisha.info/archives/1931
そのため患眼の視野中心の暗さである中心比較暗点小視症、あるいはゆがみを訴えます。

無治療経過観察

ただし30-40代の若年で初発するCSCの多くでは、OCT上のSRDと中心暗点は3カ月程度で消失します。
このように自然治癒傾向が高く一般的には予後良好と考えられるため、多くのケースでは無治療での経過観察がCSCの基本的な対処方針です。
大中誠之, 高橋寛二: 光線力学的療法. あたらしい眼科 37: 163-171, 2020.
ただし、症例によっては治療を検討する場合があります。

症例

SLEにてステロイド内服中の47歳女性が3カ月前からの左眼の中心視野の暗さに改善がないため紹介されてきました。
矯正視力は1.2/0.6で、左眼の黄斑部にはSRDがみられ(図中央)、中心10度のハンフリー視野検査で深い中心比較暗点図右)がみられました。
右眼視力は良好ですが、両眼でみると左眼の暗さが気になって生活上の支障になるとのことでレーザー光凝固治療を希望しました。
治療後1.5カ月でSRDはなくなり左眼視力は1.0に回復、暗さもなくなりました。
その後SLEに対してはステロイドの代わりにヒドロキシクロロキン製剤であるプラケニルhttps://meisha.info/archives/1390を使用するようになり、CSCの再発はみられていません。

治療を検討するケース

CSCのうち以下のようなケースでは治療が勧められます。
1. 患眼の中心暗点が著しく、両眼でみても支障になる場合
2. 3カ月経過しても網膜下液が残存する場合
3. これまでも再発を繰り返していて、再発防止を希望する場合
4. 中心窩視細胞の器質的障害をきたしている場合(慢性CSC

CSCに対する治療

従来からの代表的な治療法はレーザー光凝固です。https://meisha.info/archives/1942
しかし再発の阻止も考慮すると光線力学的療法PDTがまさります。https://meisha.info/archives/1966