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浅前房の評価

眼底を詳しく検査したりhttps://meisha.info/archives/446白内障の程度を詳細に評価するhttps://meisha.info/archives/990には、点眼薬による散瞳検査が必要です。
ただし前房が浅く隅角が狭い目を不用意に散瞳すると、急性緑内障発作のリスクがあります。https://meisha.info/archives/826

浅前房、狭隅角の判断

そこで細隙灯顕微鏡にて前房が浅いあるいは狭隅角眼だと判断した場合、多くの眼科医は散瞳薬の点眼を控えます
その判断材料としては以下の4つが一般的です。
1. 角膜中央の前房深度図左端
2. 周辺角膜での前房深度図左から2番目
3. 隅角検査図左から3番目
4. 前眼部OCT検査図右端

1. 細隙灯顕微鏡での角膜中央の前房深度

前房深度は細隙灯顕微鏡の断面像で角膜裏面と、虹彩あるいは水晶体との間の距離です。
これが角膜の厚み(CT: corneal thickness)の何倍であるかを目分量で評価して、例えば[2CTの浅前房]などと記載します。

2. 周辺角膜での前房深度

角膜中央で前房が浅くなくても、プラトー虹彩https://meisha.info/archives/837と呼ばれる台形状の虹彩の目では周辺部で前房が浅くなり、散瞳によって台形の斜面が隅角部の角膜裏面に接触することで隅角閉塞を生じます。
そのリスクは上の図の左から2番目に示すvan Herick法で評価します。
細隙灯顕微鏡のスリット光束を角膜輪部に対して垂直に当て,表のように分類します。

日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン改訂委員会: 緑内障診療ガイドライン(第 5 版). 日眼会誌 126:85-177.2022
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf
なお厳密にいうとvan Herick法では前房の厚みが1/2CTから1CTの範囲のグレードが規定されていません

3. 隅角検査

隅角検査での狭隅角の評価法にはShaffer 分類Scheie分類、Spaeth分類がありますが、表に示すShaffer 分類が一般的です。