MEWDSは視細胞の炎症で視力や視野が障害されますが、無治療でも2-3か月で回復する予後のよい網膜の病気です。https://meisha.info/archives/3575
眼底の広い範囲に一過性に多数の淡い白斑がみられることが特徴ですが、検眼鏡的にははっきりしないこともあります。
しかし眼底自発蛍光FAFを撮影すると、眼底の変化がより明瞭になります。
2週間前から左目に黄色のシミのようなものがいくつか見え、右目で見るよりも暗く感じました。
B総合病院眼科を受診し、左目の眼底の反射が異常だとして山梨大学病院眼科を紹介されました。
感冒症状や光視症などの前駆症状はなく、初診時の矯正視力は1.2/1.2でしたが、30-2ハンフリー視野検査では、左の中心視野に-5dB程度の軽度の沈下がみられました。
眼底写真をよく見ると左目の中心窩耳側に淡い斑状の濃淡が確認できます。
左目のOCT像は視細胞の内節外節を表すEZがところどこで不明瞭でAZOOR https://meisha.info/archives/3548のような視細胞疾患が疑われます。
オプトス自発蛍光写真を撮影すると、左眼底の広い範囲に斑状病変が癒合したようなまだらな過蛍光病変が明らかです。
網膜色素変性でみられる過蛍光リングは、死滅し崩壊しつつある視細胞外節によって過剰に供給されるリポフスチンに由来することを以前に説明しました。https://meisha.info/archives/744
AZOORやMEWDSなど視細胞の炎症病態でも同様に、崩壊脱落した外節から過剰供給されたレチナールの代謝産物(A2PE)https://meisha.info/archives/3862を処理するするため、RPEが自発蛍光を過剰に発すると考えられます。
MEWDSと判断して無治療で経過みたところ、3週間後には矯正視力は良好のまま、視野は正常化して症状も消失しました。
自発蛍光も均質化して、OCTのEZも連続性を回復しました。