• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

乳幼児の眼科診察法1:まずはスマホ写真

眼科を受診する新生児(生後28日未満)、乳児(生後1-12カ月)、幼児(1-5歳)の診察にはコツがあり、要点は[嫌がられない検査から始めて患児との信頼関係を構築する]ことです。
そうでないと泣かれて必要な検査ができないばかりか、眼科での恐怖だけが記憶に刻まれ、以後の診察が困難になります。
[主訴と年齢]に応じた[点眼を含む検査の順序]を考えることが重要です。

斜視疑いはまずフラッシュ写真撮影

眼位検査の基本は遮閉試験(カバーテスト)https://meisha.info/archives/478ですが、片目の前に手や遮閉板を近づけるだけで乳幼児は泣きだし、両眼開放時の眼位すらも確認記録できなくなります。
親と診察室に入ってきたら、まず[目の位置の写真をとりましょう]と親に断って、[フラッシュオン]のスマホ写真を撮影します。

光るスマホのほうを見ている写真を拡大すると角膜反射法https://meisha.info/archives/473にて正位か斜視かが判断できます。
小児に多い間欠性外斜視では、立て続けに10枚程度撮影すると、正位の写真以外にどちらかの目が外にはずれた図のょうな写真も撮影できることが多いです。

麦粒腫/霰粒腫/結膜炎でも明室でまずは写真撮影

子供にとって[暗室と照明光と検査機器]は恐怖です。
まぶたや結膜の観察のために、照明を落としていきなり細隙灯顕微鏡で診察しようとすると、子供はまぶたを堅く閉じて抵抗します。
手持ちスリットであっても嫌がる子供は少なくありません。
まずは明室で患児の顎や頭部を素手でやさしく保持して、まぶたの発赤腫脹写真左)や結膜充血写真中央、右)を肉眼で観察するとともに写真撮影しましょう。

麦粒腫の診断で眼瞼の圧痛の確認は重要https://meisha.info/archives/3292ですが、まぶたをいきなり触るのはNGです。
眼窩骨表面の眉毛部皮膚(ここは触られても嫌がらない)から徐々にまぶたに近づいて痛いかどうか尋ねるようにします。
スリット光での前房の観察フルオ染色と青色光での角膜上皮障害の観察https://meisha.info/archives/608は必要ですが、患児との信頼関係ができてからでないと困難です。

散瞳点眼、点眼麻酔は最後

小児は点眼をいやがるのでミドリンPの点眼は、スマホ写真撮影と肉眼観察が終了してからにします。
ベノキシール点眼で知覚が麻痺すれば何でも検査できる]は安易な考えで、点眼した瞬間の[しみる痛み]は眼科医との信頼関係を破壊する原因になります。
ちなみにベッド上で、開瞼器をかけて行う検査では点眼麻酔は不要です。
点眼麻酔なしで開瞼器をかけて平気なことは自分の目でためしてみればわかります。https://meisha.info/archives/176