• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

紹介状の視力記載とOCTデータ

筆者が担当する山梨大学付属病院眼科、水曜の紹介初診外来(予約が必要)には、関連総合病院の眼科や県内の眼科診療所から多くの患者さんが紹介されてきます。https://meisha.info/archives/3614
主な病気は筆者の専門である網膜疾患、神経眼科疾患(特に複視を訴える患者さん)、腫瘍(眼瞼、眼窩、眼球内)、小児眼科疾患(斜視、弱視、さまざまな先天異常)、甲状腺眼症などです。

網膜疾患で紹介の視力記載

このうち網膜の患者さんが訴える見えにくさの評価の基本は裸眼/矯正視力ですが、前医での視力が記載されていない紹介状がたまにあります。
[どうせ大学でも視力を検査するだろうから不要ではないか]との思いで記載されないのかもしれませんが、比較的短期間でも矯正視力が変化することがあります。https://meisha.info/archives/81

軽快しつつあったCSC

患者Aさん45/Mは前医でCSC(中心性漿液性脈絡網膜症) https://meisha.info/archives/2181と診断され治療目的で紹介されましたが、すでに網膜下液はわずかで矯正視力は1.0でした。
もっと見えにくかったという2週間前の前医での視力は記載されていませんでしたが、問い合わせた結果、0.6でした。
今後再発を繰り返す可能性もあるCSCでは、状況の悪かった時の視力値を把握しておくことは今後の治療方針を考える上で重要ですので、紹介状には記載いただきたいと思います。

nAMDの治療継続

患者Bさん68/Mは3年前に前医で右眼のnAMD(滲出型加齢黄斑変性)と診断され2-3か月毎の抗VEGF薬硝子体注射を受けていました。https://meisha.info/archives/3237
6カ月前から今度は左眼に網膜色素上皮剥離と漿液性網膜剥離を生じたので、右眼と同様に抗VEGF薬注射を2回行ったものの改善がないとのことで紹介されました。
紹介時の矯正視力が0.4/0.6であったことは記載されていましたが、それまでの視力経過の記載はありませんでした。
今後造影検査で診断を確認した上で両眼の治療計画をたてますが、その際にこれまでの視力経過がわかれば参考になります

膨大な添付OCT画像資料

視力経過については前医初診時とその後の最低/最高視力を数行で記載いただければ事足ります。
一方OCT画像についてはこれまでの検査結果のコピーが大量に添付されていました。
OCTや造影検査画像をどこまで添付すべきかは一概には言えませんが、常識的に相手の判断に重要となるものを数点以内で添付するのが妥当でしょう。https://meisha.info/archives/3153