• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

網膜色素変性とエスターマンテスト

網膜色素変性診療と視野検査

進行性の遺伝病である網膜色素変性https://meisha.info/archives/726の主症状は夜盲視野狭窄です。
標準的な視野検査は以前はゴールドマン視野で、アナログ表示のイソプターで視野の異常を定性的に示します。https://meisha.info/archives/867
これに対してハンフリ-視野などの静的自動視野計では、デジタル表記の平均偏差MD: mean deviationにて、進行速度を定量評価できる点が有利です。https://meisha.info/archives/878
特にハンフリー中心10-2プログラムによる進行評価は有用ですが、中心視野のみを検査するため、周辺視野の異常である求心性視野狭窄の評価には適しません。
周辺視野の評価には、30-2と60-4プログラムを追加するか、あるいは別途ゴールドマン視野検査が必要です。
しかしハンフリー視野計に登録されているエスターマンテストを使用すれば、患者さんのQOLに影響する周辺視野狭窄をより簡便に捉えることができます。

エスターマンテスト

エスターマンテストは、下方視野を中心水平 70 度以内の120か所に提示されるサイズⅢ、1,000asbの 視標(10dB)が、いくつ見えるか調べる閾上刺激検査です。
片眼のテストも可能ですが、両眼開放でのエスターマンテストhttps://meisha.info/archives/2854は、視覚障害による身障者手帳https://meisha.info/archives/2849障害年金の[眼の障害]https://meisha.info/archives/2862の診断書作成において利用されています。
図は両眼とも30度付近の輪状暗点を示す網膜色素変性患者さんのゴールドマン視野と両眼開放エスターマンテストの結果です。
視野中間部に見えない部分はありますが、足元や側方の視野には問題ないことがよくわかりきます。