[涙っぽい]という症状は涙目(なみだめ)あるいは流涙症と呼ばれます。https://meisha.info/archives/2605代表は鼻涙管が詰まって涙が溢れる鼻涙管閉塞で、鈍針のついた注射器で行う涙管通水検査では、涙点から注入した生理食塩水(生食)が鼻や喉に流れず逆流します。https://meisha.info/archives/2614
鼻涙管閉塞の場合は屋外だけでなく室内で安静にしている時も、溢れた涙がこぼれて頬の皮膚が四六時中濡れています。
一方、[通水検査:PASS]すなわち生食が鼻から喉に流れて涙道は詰まっていないのに、なお[涙っぽい]と訴える中高年の女性は少なくありません。
その場合、こぼれた涙が皮膚を濡らすほどではないが、[まぶたの間にたまった涙がうっとおしい]と訴えます。
多くは涙道ではなく眼瞼(睫毛乱生、眼瞼外反)や結膜(結膜弛緩症)に原因があります。
結膜嚢にたまった涙は、下まぶたと角膜が接する位置にできる涙液メニスカスhttps://meisha.info/archives/614を通って涙点から涙小管に吸い込まれます。
眼瞼外反ではこの涙液メニスカスが涙点に連絡しないために涙がこぼれます。
また結膜弛緩症https://meisha.info/archives/2212では、図のように涙液メニスカスが余った結膜で占拠されるために、目尻側に涙がたまったままになります。
また涙の分泌には1. 基礎分泌、2. 反射性分泌、3. 感情の涙の3種類があります。
1. の基礎分泌は常に出ている涙で粘膜である角膜と結膜を乾燥から防いでいます。
しかし少量なのでこの涙をうっとおしいと感じることはありません。
2. の反射性分泌は、目にごみがはいった時などに出る涙で、ゴミを洗い流すため大量に出ます。
外からのゴミでなくても、睫毛乱生https://meisha.info/archives/2653などの逆さまつ毛で角膜表面が傷ついた場合や、水濡れ低下型や蒸発亢進型のドライアイhttps://meisha.info/archives/620で角膜が乾いた場合でも、反射性分泌の涙が出て、まぶたからこぼれることもあります。
後者の場合、ドライアイの渇き目の症状と涙目の症状の両方を訴えます。
なお、3. の感情の涙は悲劇の映画などを観て泣いてしまう時に流す共感の涙です。
https://www.msd-life-science-foundation.or.jp/banyu_oldsite/symp/about/info/pdf/3-6_085_089.pdf